人との関わりの中で、
「ちゃんと言葉で伝えてほしい」
「行動してくれるのはありがたいけれど、それだけでは足りない」
そんな不満や違和感を抱いてしまう・・・という類のご相談をいただくことがあります。
人によって、何を重視して愛情や誠意を感じるかは異なります。
- 行動を重視する人
- 言葉を重視する人
どちらが正しい・間違っているという話ではありませんが・・・
この「違い」を理解していないと、人間関係がすれ違いやすくなるのも事実。
本日は、「行動より言葉を求める人」にフォーカスした内容でお届けします。
「行動」より「言葉」を重視する人の特徴
「もっとやさしい言葉をかけてほしい」
「ちゃんと感謝や気持ちを言葉にしてほしい」
このタイプの人は、
実際に何をしてもらったか?
よりも・・・
どんな言葉をかけてもらったか?
によって、心の満足度が大きく左右されます。
たとえ心がこもっていないと感じる言葉であっても、
「言ってもらえた」という事実そのものに意味を見出す場合も少なくありません。
実際、
- 自分自身がこのタイプで悩んでいる
- 身近な人がこのタイプで、どう接すればいいかわからない
というご相談を当ルームでもいただくことがあります。
「わかってほしい」という感情
「言葉を重視する人」は、もともと「理解されたい」「認められたい」という感情を強く持っていることも多く・・・
行動だけでは満たされない、
- 共感してもらうこと
- 気持ちを受け止めてもらえたという実感
これらを、もっとも手軽に得られる手段が「言葉」。
そのため、
「何をしてくれたか」よりも、「どんな言葉をかけてくれたか」が評価基準になります。
行動に伴う「気持ち」を言葉でもらえなかった経験
このタイプの背景には、幼少期や過去の人間関係が影響していることが多々あります。
たとえば、
- 生活面では不自由なく育った
- 必要なことは親がすべてやってくれた
一見何不自由なく見える状態だったとしても・・・
- 愛情やねぎらいを言葉で伝えられた記憶が少ない
- 気持ちを言葉で表してもらえなかった
こんな体験があると、
「行動だけでは気持ちはわからない」
「言葉で示されないと信用できない」
という感覚が強くなることも・・・。
その結果、本人は無意識でも「まずは言葉で誠意を見せてほしい」と強く求めるようになる。
言葉=愛の証明になっている場合
言葉を重視する人にとっては、
- 「好きだよ」
- 「ありがとう」
- 「大切に思っている」
などの「言葉そのもの」が、「愛情」や「誠意」の証明になっています。
たとえどれだけ行動で示されても・・・そこに「言葉」がなければ「本当に大切にされている」とは感じにくい。
逆にいうと、言葉さえあれば・・・行動が伴わなくても満たされてしまうこともあります。
言葉をくれる人を優先してしまう実例
ここで、実例をご紹介します。
成人した二人の息子を持つAさん。
Aさんは、幼い頃から愛情不足を抱えたまま大人になり・・・
自己肯定感が低く、承認欲求が非常に強い状態でした。
離婚して一人暮らしとなり、その「承認欲求」はすべて子どもたちに向けられるようになりました。
二人の息子は・・・
- 兄:社交的で口がうまいタイプ
- 弟:内向的で不器用、行動重視タイプ
という対照的な性格でした。
日常的に些細なことで母からかかってくる執拗な電話攻撃に対し・・・
兄は、「やさしい言葉をかけて満足させればいい」と考え・・・こまめに対応し、気遣う言葉をかけ続けました。
一方弟は・・・言葉は少ないものの、気にかけていることを日常的に行動で示すタイプでしたが、母からの鬼電に対してはのらりくらりとかわしていました。
Aさんは、具体的に行動を起こして日常的に支えてくれる弟よりも、めったに顔も出さずこまめに欲しい言葉をくれる兄を評価し可愛がりました。
「行動」を軽視することのリスク
このように、
「言葉がすべて」になってしまうと、現実の人間関係では問題が起きやすくなります。
実際、さきほどの例のAさんのように・・・言葉重視の兄だけをかわいがる極端な行動の代償は、
もともと仲が良かったはずの兄と弟は疎遠になり・・・
弟は母に対して今まで行動でサポートし続けましたが、兄と比べて否定され続けることに嫌気がさし、
実家に帰ってこなくなりました。
「行動の伴わない言葉」はいずれ信頼を失う
Aさんの例では「行動の伴わない言葉」に満足していますが・・・
言葉だけで最初は満たされていても、
- 助けてくれない
- 話を聞いてくれない
- いざという時にいない
という現実が見えた瞬間、「結局、口だけだった」と気づくケースもあります。
人によっては、上辺だけの言葉よりも行動を重視する人もいます。
考え方は人それぞれなので・・・
Aさんの例のように、
言葉が少ない=愛がない
と判断してしまうのは、早計といえるかもしれません。
「言葉」ではなく「行動」を見るようになった実例
Bさんは、 言葉巧みで愛情表現が豊かな恋人と付き合っていました。
しかし実際その相手は・・・ 複数の交際相手がいた上に、既婚者だったのです。
深く傷ついたBさんは、 次は上辺だけの言葉を大切にするよりも、「行動を見る」と決めました。
その後出会った相手は、 不器用で大げさな愛情表現やはありませんでしたが・・・
- 落ち込んだときや体調不良のときに寄り添ってくれる
- 困ったときに駆けつけて力になってくれる
- チャレンジしていることを見守り静かに応援してくれる
これらの積み重ねから信頼を深め、結婚に至りました。
私も過去に経験がありますが・・・
「口では良いことを言う」人は、多くの場合それが行動に反映されていませんでした。
でも、その渦中にいるときは・・・特に恋愛関係では客観的になれないことも多く、それに気づけませんでした😅
後になって思い返してみると・・・「わぁ、全然言ってることとやってることが違う」と思ったものです。
恋愛以外でも、
「口で良いことを言う人」は、その場を波風たたないようにやり過ごす能力も高く・・・
比較的、「相手に良い印象を与える」ケースも見てて多いです。
いわゆる「いい人」「穏やか」「やさしそう」「フレンドリー」という印象を持たれやすい人。
しかし、注意深く観察してみると・・・それが「上辺だけである」こともわかりやすいのです。
自分は何を求めているのかを知る
「言葉がほしい」と感じること自体は悪いことではありません。
大切なのは、
- どんな言葉を求めているのか?
- なぜそれが必要なのか?
それに気づくこと。
「自分への問い」を深めていくと、 安心感・自己価値・承認欲求 などを他人に求めるがゆえに
そうなっていたことに気づくことも多いかもしれません。
「言葉だけ」で成り立つ関係は長続きしない
人間関係は、 言葉と行動、どちらか一方だけでは成り立ちません。
- 自分の反応しやすいポイントを知る
- 相手の示し方を理解する
- 期待しすぎない距離感を持つ
このバランスが取れてくると、 関係性のストレスは確実に減っていきます。
もし、 自分や身近な人が「言葉を強く求める状態」にあるなら、
その背景にある本音を見つめることが、 関係を変える第一歩になるかもしれません。










